美風庵だより

幻の花散りぬ一輪冬日の中

「我が祖国」

 

スメタナ連作交響詩「我が祖国」(全曲)

スメタナ連作交響詩「我が祖国」(全曲)

 

 数日前から、この札響とラドミル・エリシュカの「我が祖国」を繰り返し聴いています。九響でも以前客演して「我が祖国」を披露してくれたのですが、より付き合いが深いオーケストラだけあって、じつによい間のとりかただと感じます。
九響で「我が祖国」が演奏されたとき、知人から「あまりにテンポが遅いのではないか」という感想がありました。CDを再生していて、曲の途中から聴きはじめると、たしかに異様にテンポが遅く感じます。停まっているのではないかとすら思える場所もあります。
しかし、手を止めて耳を澄ませて世界にはいっていくと、眼前にいろいろなイメージが広がっていきます。叙情詩ではなく、叙事詩なのだということがよく判る演奏です。裏を返すと、叙事詩として訴えるには小手先ではないゆったりとした構えが必要で、それを判ったうえでやっている演奏といえます。このあたりのアプローチは、どれかだけが正解ということはありませんが、少なくとも、このゆったりとした構えに、この曲は似合っています。しかし、涼しく(寒く)なって、自宅でウィスキーの水割りをいただきながらのんびり字の稽古ができるようになったのは、ほんとうに有難いかぎりです。こうやって日記を書く余裕もあるわけですから。