美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

「虚航船団」

 

虚航船団(新潮文庫)

虚航船団(新潮文庫)

 
f:id:bifum:20180923023604p:plain
f:id:bifum:20180923023555p:plain



高校時代、あまりのすごさに頭がくらくらした傑作「虚航船団」がついに電子書籍化されました。最後の「僕はこれから夢を見るんだよ」という台詞のもつ余韻と深みは、大岡昇平さんの名作「花影」のラストの「それから闇が来た」という結末と、赤貧の中では双璧をなすもので、ああ、こういう文章が書けるようになりたいとどれほど憧れたことか。
ただ、電子書籍版をダウンロードして292MBもあるのにびっくりしました。開いてみると、ぜんぶレイアウト固定になっています。たしかに、この作品に関しては、2頁ほどキャプチャした画像を見ればわかるとおり、さまざまな視覚的なしかけがあるので、通常見慣れた方式では、電子書籍化できなかったのでしょう。iPhoneで読むには、文字が小さくなっちゃうのが難点ですが、あの名作が持ち歩けるようになっただけでも画期的です。