松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

丑の刻参り

先日、藁人形の話を訊かれたので、赤貧が知る限りのことを書いておくことにする。
もともと神社の御神木には、その地域の身寄りのない霊を吸い寄せる働きがある(とくに楠や銀杏)。悪さをしないように封じ込めておく場所として、注連縄をはって外に出てこれないようにする。神仏すら眠る丑三つ時(午前2時)に、呪いたい相手の名前を書いた形代(紙人形)を御神木に打ち付けて、御神木を傷つけ、そこから出てきた無縁霊に助けを借りて呪いを成就させようとするのが、ほんらいの丑の刻参り。これを江戸時代の作家が脚色して、藁人形や五寸釘といった小道具が登場して、今はそれがさも当たり前のようになってしまった。
いまや、amazonで藁人形と五寸釘を売っている時代である。バチ当たりというか、どうやら自分が拝む相手がとんでもないものだという認識がないので、簡単に考えているふしがあるのではないか。
くれぐれも注意しておきますが、世の中にはやってはいけないことがあるのです。