松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

中部フィルハーモニー交響楽団 第63回定期演奏会 秋山和慶のブラームス・ツィクルスⅣ


11日、ブラームスチクルスの最終回でした。
今回もコンサートマスターは、元N響の山口さんです。
https://youtu.be/P0rnjsclOlo
秋山さんの指揮した二重協奏曲については、過去のN響とのものがyoutubeにあります。以前聴いた実演も、この流れに近いものでした。
ところが、今日は違うのです。ぐっとテンポを落として、じっくりと歌わせていこうとします。簡単にいえばロマン派の演奏とでもいうべきもので、「秋山さんはなんとこれがやりたかったのか」とびっくりしました。途中、ところどころで堤さんが秋山さんをニヤニヤ眺めながら弾いているのが印象的で、この二人のやりとりを見ているとこれはソリストが主導した曲想ではなく、あくまでも指揮者の主張が優先した曲想なのだとわかります。そこに気づくと、オーケストラに何を要求し、ソリスト2名に何を要求しているか、動きが見えてきます。
もともと二重協奏曲のチェロ協奏曲+ソロヴァイオリンという構成はいまいちわからないとずっと感じていたのですが、ああ、こういう曲だったのかと感じ入ることしきり。
休憩をはさんでの交響曲第4番も、これまでの秋山さんの演奏よりずっと踏み込んだものでした。これまで誰が聴いても1番は素晴らしく、本人が好きな2番は格別、ほかの2曲は……と思っていました。前回の3番といい、今回の4番といい、どうもそういう見方をしてはいけないようです。なにか吹っ切れたとでもいうべき印象をうけた演奏会でした。
チクルス全4回、どれもなかなかのものでした。自主制作盤でリリースされたのが、交響曲第1番のみというのが残念なところで、協奏曲4曲とほかの交響曲もぜひ、発売してほしいと思います。とくにピアノ協奏曲の第1番と、今日の二重協奏曲と交響曲第4番はぜひ。そのうち、中部フィルの事務局に要望メールでも出してみようかと思います。

http://chubu-phil.com/wp-content/uploads/2018/02/63_A4_omo.pdf
http://chubu-phil.com/wp-content/uploads/2018/02/63_A4_ura.pdf
中部フィルハーモニー交響楽団 第63回定期演奏会 秋山和慶のブラームス・ツィクルスⅣ
 
指揮:秋山和慶
ヴァイオリン:毛利文香
チェロ:堤剛
 
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲Op.56a
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための協奏曲イ短調Op.102
ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98