松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

三国志Vの続き

iPhone向けの三国志Vが登場し、さっそくダウンロードして遊んでみた話を先日しました。
三国志シリーズは現在も新作が発表される人気シリーズですが、そのなかでもどれかを選べと言われれば、やはりこの「V」と「Ⅸ」ということになろうかと思います。
「V」の特徴は、兵に装備させる弓や馬を買ったり、細かく内政をしていったりといった要素をばっさりと捨てた点にあります。内政は担当者を各都市にはりつけて、1都市あたり金100の一括命令ですし、いちいち購入コマンドなどで装備を買わなくても、出陣の時点で各武将は必要なものを揃えてから出陣します。
他の作品ではやたらと細かかったこの部分を切り捨てて、ではなにを重視したか。
それは「戦争」の部分です。各都市ごとに「戦場」があり、進軍に気をつかい、なるべく兵の損耗が少ない進路や戦術を選んで、30日(ターン)で相手を倒します。戦場に到着したらいったんセーブしておき、少しでも損耗をおさえられるよう戦いを進めていくのですが、納得いかなければロードし直し、何度もやり直します。
1995年に登場した最初のPC98版から、現在までサイズの見直しはあったかもしれませんが、各都市ごとの「戦場」の基本的な配置はかわっていません。1996年に発売されたセガサターン版でドット絵の解像度もあがり、当時、えらく感動したのをおぼえています。「兵の損耗をおさえながら倒」したり、「さっさと攻略」したりと、プレイヤーによってスタイルは異なるものの、このゲームの華は、この戦争と言えるでしょう。複数都市から出陣した場合、「戦場」の初期配置も複数あります。迎撃に出てきた敵を分散させることが出来たり、一方が主力と戦いつつ、もう一方で武将不在の城を狙ったり……。
敵をすべて倒す必要はなく、城を全部奪えばそこで勝利となるわけですが、あまりこの手を使いすぎると、後半、たっぷりと武将と兵士をためこんだ都市を相手にしなければならなくなり、けっこう辛い目にあいます。
どのくらいはまったかというと、何度も攻略した都市については、河川、平地、山岳の位置や城の配置まで、おぼろげに覚えているほどです。
攻めるとき、どんなに武力が高くても、錐行の陣などの機動力の高い陣形を覚えていない武将は戦場で使いにくく、守るとき、防御力の高い陣形を覚えていない武将は使いにくい。
結果として、兵力でごり押しがやりにくく、そこがこのゲームが永年にわたり愛されてきた理由ともいえるでしょう。
この「V」からしばらく迷走し、「Ⅸ」で全国を一枚マップで表現した戦略ゲームとして生まれかわったあと、また迷走している三国志シリーズですが、次はぜひ「Ⅸ」のiPhone移植版に取り組んで欲しいと思います。画面が小さいので、そのままではやりにくいでしょうが……。