松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

「若い」を「フレッシュ」と言い換えるのはどうなのか?

赤貧です。
5年ぶりに梅酒を漬けるにあたり、なにげにgoogleで検索してみると、「早くできる作りかた」という話題がやたらと目につきます。
きちんと芯まで冷凍した梅を解凍すると、手で握りつぶせるほど柔らかくなります。つぶした梅肉に砂糖と酒を混ぜ、放置した上澄みをコーヒーフィルターなどで漉すと、梅酒らしきものが出来上がるのは、むかしからマニアの間では知られていました。
冷凍梅ではなく、おろし金で梅をすりおろしてもかまいません。
いずれの場合も大事なのは、種を取り去っておくことです。種にもっとも香りの成分が含まれているのですが、数時間〜数日では、苦味だけが出てしまい、味がよくなりません。
赤貧がこの手法を知ったのは2ちゃんねる全盛期でしたので、いまから10年以上むかしの話です。
早くできる方法として紹介されているもので、当時のようにさすがにつぶして梅肉だけにしてしまい1日で飲む、というのはあまり見かけませんが、冷凍梅で数日で作ってしまう方法がよく書かれています。
数日くらいで飲んでも、たいして美味くないだろうと思うのですが、市販の加水調整した梅酒に慣れたむきには、これをフレッシュだと感じるようなのです。梅を大量に使い、薄まりすぎないよう高度数のアルコールで、数年単位で漬け込み、琥珀色どころか茶色くなるのを待つ。そういう市販品にはない濃さを採算度外視で実現するのが自作梅酒の醍醐味だと思っていたのですが、どうやら、そういう時代ではないらしい。
たかが5年されど5年といった感じで、少しさみしい気がします。