美風庵だより

幻の花散りぬ一輪冬日の中

五玉神社


http://www.town.chikuzen.fukuoka.jp/301.htm



以前から夜須高原のなかを横切るたびに、鳥居が気になって仕方がなかったのである。以前は木製のものだったが、ここ数年で石造りのものに新調された。どうやら氏子というか、崇敬者がそれなりに居るらしい。でなければ、鳥居を新調するおカネが工面できるわけがない。

……とは思っていたものの、入ってみるには気が向かなかったのだ。
 
今回、ちょうど昼間ということもあって、思い切って車を停め、なかに入ってみた。若い夫婦と参道ですれ違う。ここ数年、ネットで子宝神社として取り上げられているから、その影響かもしれない。
参道で若い夫婦とすれ違ったあと、蜂の羽音がしてくる。
 
拝殿の裏に石の祠が5つ並んでいて、なかに石の玉が一つずつ納められている。
 
ふと、酒の香りに気づく。拝殿を見渡しても、酒の瓶はない。
 
中学のころ、むかしは跡取りだったので、真言宗の尼さんのところに月に一度、お経の勉強をしに行っていたことがある。そのとき、神仏のおりるところは、酒の匂いがすること、蜂の羽音(もしくは高いうなる音)がする、と習った。酒をお供えしたり、でかい鈴をジャラジャラ鳴らすのは、人工的にこの環境を再現するためらしい。
 
どこまで本当かはわからない。さきほどの夫婦が横の滝に酒を流したのかもしれないし、車に戻ったあと痒くてしょうがなかったから、もともと虫の多い場所なのかもしれない。ただ、いずれにしても、普通の場所でないことはたしかである。
 
むかしは、このような場所がもっと多かった。どこも手入れの行き届かない杉山に埋もれ、すっかり景色がかわってしまった。だいたい荒れて10年もすると、大雨だ道路の工事だなんだで見る影もなくなる。不思議なことだが、主が居なくなるとそうなるのだろう。