美風庵だより

幻の花散りぬ一輪冬日の中

「日本沈没 第二部」

小松左京さんの監修のもと、谷甲州が書き下ろした「日本沈没」の続編。いろいろあって読みはじめたのだが、オーストラリアのダーウィンに日本亡命政府があるのはいいとして、超大国アメリカをしのぐコンピューターがあったり、砕氷艦改造の艦船を所有していたりと「どこからそんなカネが?」と謎だらけの展開。世界各地に日本人は離散している。ある国では反政府ゲリラとして細々と生き延びている。そう説明しておきながら、じゃあなんで日本亡命政府が、沈没前に買いあさった海外領土と、(なにが資金源なのか全く説明のないわりに潤沢すぎる)ジャパンマネーで買収した土地に彼らを移住させないのか。
小松左京さんの作品は奇想天外であっても、なんでそれが実現できるのかの説明はすごかった。沈没した元日本のうえにメガフロートを建設してもう一度祖国を取り戻そうという試みはいい。ただ、その背景となるカネがどこから出てくるのか、ここまで見事に無視されると、本当に小松左京さんが監修したのか?と疑いたくなってくる。
国土をうしない、国民をうしなった国家が、どこからカネを絞り出すのか。誰がスポンサーになるのか。誰が考えても真っ先に疑問を抱く点を無視して第二部って、あんまりだろうと思うのだが。最終章で宇宙に進出するのはいい。もう一回訊く。どこからそのカネが?
ガンデンポタンチベット亡命政府)や領土を失った元国家「マルタ騎士団」(現在は国連にオブザーバ参加)、自由ベトナム臨時政府(アメリカにある南ベトナム亡命政権)が、宇宙開発だのメガフロートだの、考えて実行できるわけもないのに……。
まさに時間の無駄。妄想。荒唐無稽。荒唐無稽を納得させるのがSFだろうに、荒唐無稽をそのまま垂れ流してどうする。