美風庵だより

風にちる 花のゆくえは 知らねども

「外でも粗食」



外でも粗食

外でも粗食

仕事の関係で読む。この著者の本を読まされるのは数年ぶり。ここではおカネをいただくわけではないので、正直なところを。
 
むろん、このひとの仕事は間違っていない部分も多々あるわけだが、粗食信奉というか、原理主義もここまでくると、そのうちテロでもやるんじゃないかとすら思えてくる。
アメリカで死因第一位はずっと心筋梗塞だった。心筋梗塞が多いのは食事が良くないということで、1970年代以降、低脂肪食として和食が推奨され、いわゆる「スシブーム」につながっていく。結果として心筋梗塞は減ったが、じつは男性の肥満率は上昇し、糖尿病が増加した。結果としては、失敗だったのだ。
 
その原因はなにか。30年かけてとった統計から出た答えが、「炭水化物の取りすぎ」。科学アカデミーは、炭水化物の1日の推奨量を130gとした。日本の厚労省が260gだから、ほぼ半分。日本人は体質的・遺伝的に糖尿病になりやすいとされてきたが、炭水化物の摂取量増加とともに、アメリカでも糖尿病が増えたものだから、その説明もあやしくなった。それが5,6年前の状況。そこからあとはフォローしていないので、知らないが、おそらく変化はないだろう。というより、これから5,6年の状況の変化を、糖質制限食の話題ふくめて後追いしないといけないので、つらいのだが。
 
なんのことはない。ごはんと甘いものを食いすぎていたのだ。みんな。
 
この本でも、若い女性がごはんを減らしてまで甘いものを食べるのはおかしいと書いている。それはそうなのだけれど、すでに時代は、ごはんの食いすぎすら問題としている。そこに目を背けつづけて数年。この著者のような、ごはんと味噌汁を毎食とるのをすすめる粗食原理主義者には、科学アカデミーの結論は由々しき事態のはずだが、触れない。
 
炭水化物130gを実践しようと思えば、ごはん茶碗3杯で終わってしまう。1日3食粗食が成り立たないのだ。味噌も、豆味噌でないかぎり、糖質は多い。八丁味噌は豆味噌と米味噌のブレンドだから、豆味噌単品より糖質が多い。彼の大好きな根菜も、ごぼうをはじめ糖質は多いから、粗食すら成り立たない。私みたいなたまにしか情報をさらわない人間でも気づくのだから、ましてやこの著者のような、本を書いて生きているひとが、わからないはずはない。ごはん抜きで甘いものを食べる女性の話なんかで、原稿の枚数を稼いでいるひまはないとおもうのだが……。すでにいままでの印税や講演料で貯えもあるだろうし、信者を相手にしながら、人生逃げ切るだろうが……。いっかい、どんな反論ができるかわからないけれど、「太陽が地球の周りをまわっている」級の本を書いてほしいのだが。そこまでやれば、このひとも後世にもっと名を残すに違いない。