松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

まずいラーメン屋


何年かぶりにまずいラーメン屋に立ち寄る。今度で数回目?ここは、タレのつくりもスープもなってなくて、しかもごはんも炊きおきしすぎて美味しくなく、唐揚げも片栗粉で揚げるのはいいが、もも肉に味がまったく染みこんでいない。しかし、何故か数年に一度は来てしまうのだ。まだ潰れていないことを確かめるためなのか、まずいラーメン屋で、人間としてのハングリー精神を取り戻そうと無意識のうちに訪ねてしまうのかは、よくわからない。
金を払う価値がないというより、ある種の怖いものみたさを満足させてくれるだけで、値段のもとはとれるともいえる。ただ、おそるべきは店主が途中で若返ったこと。人間が物理的に若返るはずはないので、子息か弟さんなのだろうけれど、味はまったく変化がない。つまり、先代の不味いレシピがそのままであり、炊きおきのご飯を出し、いつ仕込んだかわからない中身の肉がちぢこまった餃子を平気で出し、衣にしか味がついていない超薄味の鶏ももの唐揚げを出すセンスは、そのまま引き継いでいるということ。
これでラーメンが多少なりとてまともならいいのだが、タレから塩味しかしない。たんなる塩。基本的に、呑み会のシメに立ち寄って、アルコールでわけわかんなくなってるときに食うためのもの。終電間際のよっぱらい向けの店なんだろうな。