松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

ETFとREIT

ETFとかREITちゃなんね?」というショートメールをいただきましたので、解説してみたいと思います。なお、知ったか素人なので間違いが多分に含まれているおそれがありますから、鵜呑みにしないでください。
 
もともと、投資信託という金融商品があります。これが基本です。
 
簡単に言えば、投資信託とは投資家から資金を集め、プロが運用して増やしていく商品です。増やした部分を、分配金として受け取るか、再投資にまわすか、商品として2種類にわかれます。
再投資にまわすものは、預金でいう複利のようなもので、元手が生んだ利子を足してさらに投資に再投入するわけですから、倍々ゲームが加速します。長期運用で資産形成に利用されるタイプは当然、こちらです。
 
ETFは、投資信託とおかねの集め方が違います。証券会社を通じて、1口いくらの株として投資家が買うのです。株として取り扱うため、決算のたびに利益を吐き出して分配することになります。投資家は、もらった配当でさらに口数を買い増すか、違う銘柄を買って、資産を増やしていこうとします。
 
REITはETFの不動産版で、株として売り、証券会社経由で集めた資金を、不動産投資にまわします。その利益を、投資家は決算期のたびに受け取ります。
 
「だから何だ?」というかたもいるでしょうが、ETFやREITの場合、1口いくらで売買され、配当を確実に安定して叩き出せるかどうかが重視されますので、信託報酬(運用する側の経費)を低めに設定する傾向があるのです。実績(配当)重視の傾向が強まっています。
そして、投資家から見た場合、1口いくらでの取引なので、おカネが許す限り、さまざまな銘柄に分散して投資ができます。あっちに10万、こっちに10万といった具合にです。
これは、複数の投資信託を同時に積み立てるのと同じことを意味します。
 
ETFやREITの欠点は、長所の裏返しです。あくまでも株ですから、決算ごとに配当を出さなくてはなりません。勝手に再投資はしてくれません。投資家は、配当金を貯めてさらに口数を買い増すか、違う銘柄に投資して、自らの手で「複利効果」を求めて行かなければならないのです。
 
本来は資金集めの手段と利益の分配手段の問題だけで、どっちもどっちにならないといけないのですが、さにあらず。
投資信託には市場の目がないため、やりたい放題の商品も「大手に(ここが重要)」いろいろあるのです。
http://www.daiwasbi.co.jp/fund/pdf/1856/1856_koufu.pdf
世の中にはこういう投資信託商品が存在します。このPDFの15ページ目をご覧ください。分配金をひねり出すために元本を食っています。総資産が伸びないのは、そのためです。
こういうのを見ると、老後の虎の子を減らないように預けたつもりが、墓を建てるカネも残らないなんてことになりかねない現状が、お分かりいただけると思います。
http://www.daiwasbi.co.jp/fund/pdf/0821/0821_koufu.pdf
ちなみに、ここの会社の名誉のために付け加えると、こういう長期の資産形成向けのまともな商品もあります。
けっきょくのところ、庶民騙して売り抜けたもん勝ち。残念だけれど、これがまかり通るから金融商品は怖いし、おぢさんは手をつけたくなかったのです。
むかしながらの古臭いもの以外は。
 
カモられないようにだけは気をつけましょう。