美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

「ブルックナー 交響曲第9番」

さいきん、久しぶりに朝比奈隆さんのブルックナー9番を聽き直してゐる。
この演奏はユルイだの締まりがないだのと言はれて、ファンの間でも酷評のものだが、私は好き。
ぽつかりと口をあけて、なにかに吸ひ取られるやうな感覺をおぼえる。時間が流れてゐるのに停まつてゐるやうな感覺が、朝比奈さんのブル9の眞骨頂だけれど、それをよく表現しきれてゐるとおもふのだが。世間的には、リズムがガタガタすぎて聽けたものではないらしい。同じ東響との演奏であれば、1991年の録音のはうが、ずつと世評が高いのだ。たしかに、廣がりを感じさせつつも踏み外してゐないと云ふ點で、世評の高さもうなづけるのだが、踏み越えてしまつたあとこそ、すごいのだ。