松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

「連祷」聴きました(゜゜)

[asin:B01M0P29DV:detail]まず、連祷という題名をみて、キリスト教の讃美歌を思い出しました。ひとりがまず歌い、合唱隊がそれに続く。
http://hosanna.romaaeterna.jp/prayer/rentou/rentou11.html
こういうのです。歌詞だけですが、イメージはわかるとおもいます。
そういう曲だとばかり思い込んでいたけれど、どうも違う。連祷に込めた意味が違う。フクシマとヒロシマへの祈りなんですね。武満さんの「リタニ」あたりからの連想かな、という気がします。
とにかく、美しい曲。彼が佐村河内名義で出した交響曲で「佐村河内が喜ぶので宇宙戦艦ヤマトウルトラマンの要素をちりばめた」とコメントしていたのは知っていたけれど、じゃあ、そういう俗ウケの要素を排除した、書きたいものはなんだったのか、をはじめて40分余りの曲で示してくれたわけです。可憐な曲。むろん、可憐さや美しさだけで曲が40分ももつわけがない。背後に低音の不気味な刻みが入る。いっけん幸せに見えても、裏にはやはりなにかがある。ひそんでいる。何度か聴き返しながら、客の存在を意識し、客に伝えることを意識している新垣さんの姿勢はすごいな、と感じ入ります。いろんな引き出しを持っている。そして、それを上手に引き出す誰かが居て、そこに彼がはまっていく。
そういう意味では、佐村河内は上等の道化であり、仮面だったのかもしれません。いまは、佐村河内ではない、プロのみなさんから引き出されて、彼らのために書いている、そんな感じがします。
交響曲といっしょに収録されたピアノ協奏曲、ラフマニノフバルトークラヴェルもフローラン・シュミットもなんでも聴こえてくるけどどれでもないすごい作品で、終楽章なんてグレツキチェンバロ協奏曲かプーランクの田園のコンセールを、フローラン・シュミットばりにさらに疾走させたらこうなるって感じ。もっと通俗に流れるか、前衛バリバリの大絶叫かあいかわらず極端な世界に、適度にわかりやすく、かつ本格的な曲を書く作家が登場したと言っていいでしょう。すごいです。やっぱゴキブリ退治のCMに登場するだけのことはあるわ。