松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

「北の河」

北の河 (文春文庫)

北の河 (文春文庫)

立原正秋 (新潮文庫)

立原正秋 (新潮文庫)

高井有一さんの小説で最初に読んだのが、1992年の「立原正秋」でした。旧かな旧字体の文体と、情景描写・心理描写の巧さ、ああ、プロの作家の文章だ、と読めばよむほど感服した記憶があります。
その後、文春文庫の「北の河」を取り寄せて読んでみました。疎開先で心理的に追い詰められた母親が、入水自殺した経験を書いた短編。これもプロの、簡潔ながら情緒のある文章でした。
こういう美しい文章が書けるようになりたい、と思うのですが、なかなか、うまくいきません。むつかしいものです。

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http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26HBI_W6A021C1CC1000/
 
高井有一氏が死去 作家、芥川賞北の河
 
戦後の日本人の孤独や喪失感など内面を叙情的な文体で描き、「内向の世代」と呼ばれた作家の高井有一(たかい・ゆういち、本名=田口哲郎=たぐち・てつお)氏が26日午後1時57分、東京都内の病院で死去した。84歳だった。お別れの会を行うが日取りなどは未定。喪主は妻でジャーナリストの中村輝子さん。
 
共同通信文化部に在職中の1966年、敗戦の体験と入水自殺した母を描いた「北の河」で芥川賞を受賞。75年に同社を退職、作家活動に専念し、少年期の体験などをモチーフにした小説世界を展開した。

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