美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

ふなぐち菊水一番しぼり

かう寒くなつてくるとがぜん美味ひのが、「ふなぐち菊水」である。神棚の、普段は水を御供へしてゐるぐい呑みに一寸だけ注いで、のこりはちびちびと、高菜の油炒めといかの鹽辛をつまみに、いただく。普通の日本酒はここまで濃くない。一般的な加水と火入れした酒に再度酒粕を入れて暫く寢かせ、輕く、ほんの輕く絞つたとしても、この味はひにはならない。やつぱり、生原酒でないと、この濃厚な味はひにならない。酵素が生きてゐるから、甘くなる。
なにがすごいつて、これを全國に向けて賣ることができる量産力と生産管理力である。一寸したイベント用に少數のロットを製造するのならともかく、全國に向けて販賣する商品で、生原酒をこれだけ大量提供できるのだから、恐るべし菊水。